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静かな性

らだと言っていたことを思い出

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らだと言っていたことを思い出

あら、まあ、素敵なベビードレスですね」
「ベビードレス?」
総二郎が手にしたそれを見て家政婦がにこやかな笑顔を見せた。
「ええ、ベビードレスですよ。退院のときに着せるんです。優紀様がご用意されていた荷物の中にはベビー服しかなかったので、それを着せて差し上げるつもりだったんですけど、こんなにステキなベビードレスがあってよかった」
その中にはドレスとお揃いの小さな帽子なども入っていた。
「お揃いの帽子におくるみまでありますよ。本当にかわいらしいですね。あら・・・これ、どなたかのお下がりなんですか?クリーニングのタグが着いていますよ。もしかして、西門様のお小さい頃のものですか?」
「え?いや、分からない。何も聞いてないから・・・」
総二郎は家政婦に風呂敷ごと渡し、明日赤ん坊に着せるように頼んだ。
赤ん坊に必要なものは優紀が揃えたものを使うように家政婦に命じていた。
優紀が揃えたものは高価な物ではないようだったが、総二郎は優紀の気持ちを考えれば使ってやりたかった。
ただ数は最低限しかないうえに、優紀の寝間着は粗末なものばかりだった。
お金に余裕のなかった優紀は自分のことは二の次で赤ん坊に精一杯良いものを与えようとしていたのだろう。
総二郎はそれを知ると、すぐにデパートの外商を呼びつけ家政婦に必要なものを十分に準備させていた。
「ベビードレスは準備しなかったのか?」
「はい。たぶん優紀様はベビー服で済まされるおつもりだと思いましたので」
普段着にはできないベビードレスを準備する余裕は優紀にはなかったのだ。
それにしても新品ではないものを持たせるなんてと一瞬頭を過ったが、先日病室を訪れた家元夫人の様子から考えれば嫌がらせではないだろうと思った。
総二郎は病室に泊まり込み、退院の準備に忙しい家政婦の代わりに優紀のそばにいた。
相変わらずうつらうつらしている時間が長かったが、それでも睡眠が取れているらしく多少顔色が良くなってきていた。
赤ん坊にベビードレスを着せると人形のように愛らしく、総二郎は眠っている優紀の隣に寝かせると写真を撮った。
パシャッという機械音に優紀が目をうっすらと開けた。
「・・にし・・・か・・・どさ・・・ん・・・」
「起こしたか?悪かったな、ふたりの写真を撮ってたんだよ」
優紀は小さく頷き、隣に眠る赤ん坊にゆっくり視線を移すと不思議そうな顔をした。
「ああ、これか。ベビードレスっていうらしいよ。知ってるか?」
優紀はまた小さく頷くと、ふわっと明るい微笑みを浮かべた。
「ありがとう・・・ございます。かわいい・・・・うれしい・・・」
優紀は赤ん坊の小さな手を握り、よかったねと話しかけている。
優紀のそばにいるからだろう赤ん坊はぐずりもせず、元気よく手足を動かす清數
「今日、退院だよ。赤ん坊と一緒に退院できて良かったな」
「はい・・・ごめいわく・・かけ・・・て、ごめんなさい・・・・・」
「何が迷惑だ。優紀がこいつを一生懸命守ってくれたんだろう?ありがとうな」
総二郎は優紀の頭を少し乱暴に撫でた。
「早く元気になれ、優紀」
総二郎が笑いかけると優紀は瞼を閉じゆっくりと頷いた行使價是什麼
退院の準備が整うあいだに優紀は授乳をしてまた眠りに落ちていた。
「車いすよりストレッチャーをお持ちしましょうか?」
車いすを持ってきていた看護師が眠っている優紀を見て総二郎に尋ねた實德環球
「いや、寝かせておいていい。赤ん坊を頼むよ」
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